コミュ症に優しくない教習項目No.2 「応急救護」【40代後半からの普通免許⑬】

第二段階、第二の壁「応急救護」 とは

教習第二段階。
対人スキルが低めの人間に立ちはだかる、第二の壁。
それが応急救護だ。

強制3コマ連続。
半日拘束の地獄。

もしもの時のために、人命救助の方法を学ぶ。
とても大事な教習項目であることは、間違いない。

救護役と通りすがり役で二人一組になり、
救護練習用の人形を負傷者に見立ててロールプレイを行う。

講習を受ける前は、本当に気が重かった。

だが結論から言うと、
応急救護はコミュニケーション能力が極低でも大丈夫だった。

決められた台詞を言い、
決められた動作をする。
これだけだ。

危険予測ディスカッションのように、
意見を言い合うなんて高度なことは要求されない

余計な世間話をしなければならない、恐怖の「間」とかもなかった。

応急救護当日

その日は、雨だった。
開始時間ギリギリに教室に入ったが、3人くらいしかいない。
続けて指導員が入ってくる。

「今日、キャンセル多くて4人ですね」
そうなんだ…。
人数が少ないと、世間話的なイベントの発生率が上がる気がするので、
少し緊張する。

1コマ目は講義

救護演習の部屋で床に体育座りをして、指導員の話を聞く。
なぜ机のある教室でやらないのか、不思議だ。

講義の内容は、救護活動の重要性。事故時の生存率の変化など。

「昔の方が、重大事故での生存率は低かったんですよ。
なぜだかわかりますか?
たぶん皆さんは平成生まれなので、想像できないかもしれませんが――」

昭和生まれの私は知っている
いざという時に公衆電話を探す大変さを。
テレホンカードと10円玉の大切さを。

だが私は無言で話を聞いていた。
指導員の目に
「老け顔の平成生まれ」として映っているなら、それでいい。

そのまま、そっとしておいてほしい。

2コマ目からは実演

グーパーで組分けをする。若者の一人が私と組む。
すまん、若者よ。足を引っ張らないように頑張るよ。

指導員が言う「この中に、こういう人形を使って、救護の演習を受けたことがある人はいますか?」

ある。高校の保健体育の授業だったと思う。
というと……30年前。化石級の過去。
時の流れの速さに内心静かに驚きつつ、
記憶の発掘に不安がありすぎて、手は上げなかった。

「はい、じゃあ皆さん初めてですね」

みんな初めて、ということになった。

ロールプレイは順調だった。決められたことだけやればいい。
演習用の人形は、太古の記憶とほぼ同じだった。

心臓マッサージをすると胸骨がベコベコして、ちょっと怖い。
いざという時、生身の人間にこれをやるのかと思うと、
勇気がいる。
そして腕が疲れる。かなり疲れる。

本来であれば人工呼吸の演習もあるのだが、
感染症対策のため実演はなし。
「やるマネ」だけした。

あとはAEDの使い方を教わって終了。
AEDって喋るんだ……。自分から使い方を教えてくれる。
ステップ・バイ・ステップで。
えらい。

3コマ連続は確かに疲れた。
だが、危険予測ディスカッションの時のように
精神をえぐられることはなかった。
腕力だけが削られた。

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