みきわめ(第二段階)【40代後半からの普通免許⑮】
みきわめまでの補習回数
第二段階に入って、21回目の技能のときだった。第二段階の技能の最短時限は19回。
すでに2時限超過していた。
第一段階の時は「あと何回くらいでみきわめに行けそうか」を教えてくれたのだが、今回は何も言われていない。
何も言われないまま、2時限超過しているのである。
あと何回補習を受けたらみきわめて頂けるのか、まったく読めなかった。
だがその頃の私は、
「今、一人で公道に放り出されたら即事故る」
という確信があった。
だから、補習にかかる金額が気にならないわけではなかったが、
それよりも「納得できる状態になること」の方が大事だった。
教習所での安心は、プライスレス。
その日は、すぐにハンドルを取ってくる指導員(私の中で通称ハンドルドロボー)が横に座った。
今日は何回ハンドルを取られるだろうと身構えていたが、
その日は、一度も取られなかった。
あれ、今日は手が忙しかったのだろうか。
ハンドルを取れなかったドロボーが言った。
「みきわめの予約を取りましょう」
今日は私の運転が、ハンドル窃盗の基準を超えなかったようだ。
みきわめ当日
みきわめの担当は、通称疑心暗鬼指導員だった。
「自分以外の車は全部敵と思え」
「常に命を狙われていると思って注意を払え」
「事故は死角から来る」
彼の名言は、今も心に残っている。
ちなみに彼は、危険予測ディスカッションの担当でもあった。
適任過ぎる。
今日も彼の疑心暗鬼は冴えわたっていた。
「教習車や初心者マークは特に狙われているから、気を引き締めて行きましょう」
運転は、生存戦略なのだ。
みきわめでは、指導員に目的地を指定され、そこへ向かう。
走行中に指導員が言う。
「そこ、右折の合図遅いですよ。」
あれ、ここ右折だっけ?まあ、次で左折すれば行けるか。
「そこウィンカーいらないですよ。」
え?
「●×センターですよね?」
「▲▼会館て言いましたよね?」
…そんなことある?
アラフィフ、みきわめで目的地を間違う。
「はっはっは、道理で。
てっきり、自ら死にに行ってるのかと思いました」
物騒である。
しかし、的確である。
気を取り直してみきわめ続行。
だが動揺すると、運転は露骨に乱れる。
なぜか青信号の前で停止したりする。
自分の脳も停止している。
「今なんで止まってたんですか?敵がいましたか?」
いえ、心が休憩を望んでいるだけです……。
一通り走行して教習所に戻る。
縦列駐車と方向転換を何度か繰り返す。
縦列駐車では、窓が閉まっているのに外に顔を出そうとして、額をぶつけた。
「それで怪我をしてもたぶん保険は出ないので、気を付けてください」
疑心暗鬼指導員に、まともなことを言わせてしまった。
これは補習だな、と内心確信した。
しかし指導員は言った。
「正直、前半はボロボロだったんですけどね。
後半なんとか持ち直したので、卒検やってみましょう」
どこがどう持ち直していたのか、全く分からなかった。
アラフィフ、不安しかない卒検に進む。
